1番人気の複勝の的中率64.7%と回収率84%を比較

1番人気の複勝を買い続けたら勝てる?的中率64.7%・回収率84%を検証

競馬で「安全な買い方」と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのが、1番人気の複勝ではないでしょうか。

もっとも支持されている馬を選び、しかも1着ではなく3着以内で的中。

確かに、当たりやすさだけを見ればかなり魅力的です。

では、1番人気の複勝を何も考えずに買い続けたら、資金は増えるのでしょうか。

2016〜2026年のJRA公開レース結果37,083レース、延べ517,114出走を集計したデータでは、1番人気の成績は次のようになっています。

1番人気の複勝率:64.7%
1番人気の複勝回収率:84%

かなり当たります。

しかし、回収率は100%を下回っています。

つまり、1番人気の複勝は「当たりやすい」のは事実でも、「買い続ければ儲かる」とは言えません。

1番人気の複勝はどれくらい当たるのか

まず、的中率から見てみましょう。

約3回に2回は馬券になる

1番人気の複勝率は64.7%でした。

単純に考えれば、100回買えば約65回は的中する水準です。

これはかなり高い数字です。

複勝は、通常8頭以上のレースでは3着以内、7頭以下では2着以内に入れば的中します。

そのうえ、市場でもっとも支持されている1番人気を選ぶわけですから、的中率が高くなるのは自然です。

1番人気の複勝は、「当てる」という目的だけなら非常に優秀です。

しかし、投資として考えるなら、ここで止まってはいけません。

見るべきなのは回収率

競馬では、何回当たったかではなく、最終的にいくら戻ってきたかが重要です。

1番人気の複勝回収率は84%。

100万円買えば、過去集計と同じ水準なら84万円しか戻らない計算です。

的中率64.7%という数字だけを見ると安全そうですが、価格まで含めると結果は変わります。

37,083レースを100円ずつ買ったらどうなる?

ここで、よりイメージしやすいように単純計算してみます。

総投資額は約370万円

仮に37,083レースすべてで、1番人気の複勝を100円ずつ買ったとします。

37,083レース × 100円 = 3,708,300円

投資額は約370万8,300円です。

回収率84%として単純計算すると、払戻総額は、

3,708,300円 × 84% = 約3,114,972円

となります。

したがって、差額は約59万3,000円のマイナスです。

※回収率84%は丸められた集計値のため、金額はあくまでイメージをつかむための概算です。

約65%当たっていても、
買い続けると資金は約16%減る。

これが「的中率」と「回収率」の違いです。

的中率だけを見て馬券を評価すると、この差を見落としてしまいます。

単勝より複勝の方がマシなのか

では、1番人気を買うなら単勝より複勝の方が優れているのでしょうか。

同じ集計では、1番人気の単勝と複勝は次の結果でした。

買い方 的中率 回収率
1番人気・単勝 33.1% 79%
1番人気・複勝 64.7% 84%

複勝の方が当たりやすい

的中率は、単勝33.1%に対して複勝64.7%。

ほぼ2倍です。

また、この集計では回収率も単勝79%に対して複勝84%でした。

したがって、この期間全体では複勝の方が損失率は小さかったことになります。

ただし、ここで「複勝の方が儲かる」と結論づけるのは早すぎます。

どちらも回収率100%を下回っているからです。

単勝と複勝の構造的な違いについては、「単勝と複勝どっちが儲かる?回収率・的中率・リスクをデータ比較」でも詳しく検証しています。

なぜ64.7%も当たるのに負けるのか

理由は単純です。

当たったときの払戻が小さいからです。

回収率84%から逆算すると見えてくる

回収率84%、複勝率64.7%という集計値から、的中1回あたりの平均払戻相当を機械的に逆算してみます。

84% ÷ 64.7% ≒ 1.298

100円購入に対して、的中時の平均払戻相当は約129.8円です。

つまり、1回当たったときに増える利益は平均すると約29.8円相当。

一方で、外れれば100円を失います。

平均的には、

的中:+約29.8円
不的中:-100円

という非対称な構造になります。

※これは複勝率64.7%と回収率84%から逆算した平均払戻相当であり、個々のレースの実際の複勝オッズ平均を示すものではありません。

1回のハズレが重い

約30円ずつ利益を積み上げても、1回外れれば100円を失います。

そのため、4回程度連続して的中して、ようやく1回の不的中を取り戻せる計算になります。

これが低オッズ馬券の特徴です。

勝つ回数は多い。

しかし、勝ったときの利益が小さいため、少数の不的中が積み上げを削ります。

損益分岐点から考えるとさらに分かりやすい

では、複勝率64.7%なら、平均でどれくらいの払戻が必要なのでしょうか。

64.7%で収支ゼロになる価格

損益分岐点となる平均払戻倍率は、

1 ÷ 0.647 ≒ 1.546倍

です。

つまり、複勝率64.7%なら、平均して約1.55倍の払戻があってようやく収支トントンになります。

しかし、実際の集計から逆算した平均払戻相当は約1.30倍。

価格が足りていません。

問題は、1番人気が弱いことではありません。

当たる確率に対して価格が安すぎることです。

これは、競馬を投資として見るうえで非常に重要な考え方です。

期待値の基本については、「的中率80%でも負ける?競馬で勝率より期待値が重要な理由」も参考になります。

「1番人気だから安全」は間違いなのか

ここで誤解しないようにしたいのは、1番人気そのものが悪いわけではないということです。

1番人気は実際によく走っている

1番人気は、勝率33.1%、複勝率64.7%。

市場がもっとも高く評価した馬が、実際によく好走していることはデータから確認できます。

問題は、みんながそれを知っていることです。

強い馬には多くのお金が集まり、オッズは下がります。

つまり、能力が高いだけでは利益になりません。

その強さが、すでに価格へどこまで織り込まれているかを見る必要があります。

人気は「情報」だが「買い条件」ではない

1番人気という情報は有用です。

しかし、1番人気だから買うというだけでは、過去集計では回収率100%を超えていません。

以前検証した「1番人気を買い続けたら勝てる?JRA過去5年の勝率・回収率を検証」でも、同じ問題が見えていました。

人気は強さの目安にはなります。

しかし、利益を生むには価格との組み合わせが必要です。

1.1倍の複勝ならもっと安全なのか

「それなら、1番人気の中でも複勝1.1倍だけを買えばいいのでは?」

こう考える人もいるでしょう。

しかし、低オッズになればなるほど、必要な的中率は高くなります。

複勝1.1倍は90.9%必要

1.1倍の損益分岐的中率は約90.9%です。

つまり、10回中9回当たるだけではまだ不足します。

この問題については、「複勝1.1倍は本当に安全?必要的中率90.9%と回収率の罠を検証」で詳しく計算しています。

オッズが低くなるほど「安全そう」に見えます。

しかし同時に、許される不的中の回数も減ります。

つまり、低オッズはリスクがないのではなく、別の形で高い精度を要求しているのです。

では、1番人気の複勝に使える条件はないのか

ここからが、ウマデシで本当に検証したい部分です。

「1番人気の複勝を全部買う」と回収率84%。

だからといって、1番人気の複勝すべてに価値がないとは限りません。

条件分解すれば差が出る可能性はある

たとえば、次のような条件に分解できます。

  • 複勝オッズ帯
  • 単勝オッズ帯
  • 競馬場
  • 芝・ダート
  • 距離
  • 出走頭数
  • 年齢条件
  • クラス
  • 年度別
  • 騎手

全体では84%でも、特定条件では100%を超える場所が存在する可能性はあります。

ただし、ここで注意しなければならないのが過剰最適化です。

条件を探しすぎれば100%超は見つかる

競馬場、距離、馬場、頭数、オッズ、騎手などを大量に組み合わせれば、過去データ上だけ回収率120%や130%になる条件が見つかることがあります。

しかし、それが将来も続くとは限りません。

偶然だった可能性があるからです。

そのため、条件を見つけたら、年度別成績、サンプル数、条件を少しずらしたときの頑健性まで確認する必要があります。

サンプル数の考え方については、「回収率120%でも信用できない?競馬データでサンプル数・収束・再現性を見る方法」で詳しく解説しています。

高回収率条件を見つけても、最後はOOSで確認する

仮に1番人気の複勝から回収率110%の条件を発見したとします。

そこで「必勝法発見」と判断してはいけません。

探索期間と検証期間を分ける

たとえば、2016〜2022年を使って条件を探したとします。

そこで見つけた条件を固定し、2023年以降のデータには一切手を加えず検証します。

これがOOS、つまり未知期間での検証です。

探索期間では110%だったのに、未知期間では78%になるなら、過去データに合わせすぎた可能性があります。

逆に、未知期間でも回収率が維持されるなら、初めて検討する価値が出てきます。

この考え方は、「回収率115.7%は本物?競馬データの過剰最適化とOOS検証」でも詳しく扱っています。

結論|1番人気の複勝は当たる。しかし、それだけでは増えない

今回の数字をまとめます。

項目 結果
対象集計 2016〜2026年
JRAレース数 37,083レース
1番人気・単勝勝率 33.1%
1番人気・単勝回収率 79%
1番人気・複勝率 64.7%
1番人気・複勝回収率 84%

1番人気の複勝は、約3回に2回当たります。

それでも、回収率は84%です。

つまり、競馬では「当たりやすさ」と「儲かりやすさ」は別物です。

強い馬を探すだけでは足りない。

その馬の勝つ確率に対して、今の価格が高いか安いかを見る必要があります。

1番人気は当たりやすい。

しかし、人気が集まるほど価格は下がります。

だから最後に見るべきなのは、人気順位ではありません。

確率と価格です。

馬ではなく、数字を見る。

そして、その数字が本当に将来も残るのかまで疑う。

投資競馬研究所|ウマデシ

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ウマデシ|投資競馬研究所

30代半ば、3児の父。 高校3年生のときに夢破れ、その後は何をやってもうまくいかず、 「俺はもう働かない」と決意。

それでも生きていくにはお金が必要だったことから、 株やFXをはじめとする投資の世界へ。 さまざまな経験を重ねる中で、 感覚や勢いではなく、 価格・確率・期待値・資金管理といった 数字を基準に判断する考え方に行き着く。

現在は、その視点を競馬にも応用。 人気や印だけに頼らず、 オッズ、回収率、期待値、母数、市場心理などから 競馬を研究している。

「馬ではなく、数字を見る」をテーマに、 投資競馬研究所|ウマデシを運営。

記事になる前の考察や検証データ、 NISA・S&P500・FXと競馬をつないだ発信は、 Xでも更新している。

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