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オッズ差が大きいレースは、本当に荒れにくいのでしょうか。
1番人気が2.0倍。
2番人気が2.2倍。
こんなレースを見ると、
「上位2頭が拮抗しているな」
と感じます。
一方で、
1番人気が2.0倍。
2番人気が6.0倍。
なら、
「1番人気がかなり抜けている」
と感じるでしょう。
では、後者のほうが本当に「荒れにくいレース」なのでしょうか。
まず、「荒れる」という言葉を整理しておきます。
競馬では、
など、さまざまな場面で「荒れた」と表現します。
しかし、これらは同じ意味ではありません。
例えば、1番人気が2着に負けても、
2番人気 → 1番人気 → 3番人気
で決まったなら、配当はそこまで大きくならない可能性があります。
逆に1番人気が勝っても、2着・3着に人気薄が入れば高配当になることがあります。
つまり、
「1番人気が負けること」と「レースが荒れること」は別です。
ここを分けないと、検証結果がぼやけます。
NISAでオルカンやS&P500を積み立てている人なら、
「リスク」という言葉が単に損することだけを意味しないと聞いたことがあるかもしれません。
投資では、価格変動の大きさや、想定からのブレもリスクとして考えます。
競馬でも同じです。
「荒れる」という言葉を使うなら、何をもって荒れたと定義するのかを決める必要があります。
例えば、
などです。
定義を変えれば、結果も変わります。
投資と同じで、分析する前に「何を測るのか」を決める。
これが大切です。
前回の記事では、1番人気と2番人気のオッズ差を市場評価の差として考えました。
例えば、
| レース | 1番人気 | 2番人気 | 印象 |
|---|---|---|---|
| A | 2.0倍 | 2.3倍 | 上位拮抗 |
| B | 2.0倍 | 6.0倍 | 1頭抜け |
どちらも1番人気は2.0倍です。
しかし、レースBでは市場参加者のお金が1頭により集中しています。
そこから、
「オッズ差が大きいほど、市場の見解が一致しているのではないか」
という仮説が生まれます。
そして、その仮説が正しければ、
1番人気が抜けたレースほど波乱が減るのではないか。
という次の仮説につながります。
ただし、この時点ではまだ仮説です。
ここは非常に重要です。
オッズ差が大きいということは、
市場参加者が1番人気を高く評価している
ことは示しています。
しかし、
その評価が正しい
ことまでは保証していません。
株式市場でも同じです。
人気銘柄に買いが集まり、株価がどんどん上がることがあります。
市場全体が将来を期待しているわけですが、期待が強すぎれば割高になる可能性もあります。
競馬でも、
などによって、特定の馬に支持が集中する可能性があります。
だから、
です。
例えば、オッズ差が大きくなるほど1番人気の勝率が高くなったとします。
それだけなら、
「1頭抜けのレースは堅い」
と言いたくなるでしょう。
しかし、荒れやすさを調べるなら、それだけでは足りません。
少なくとも、次のような指標を見たいところです。
ここまで見て初めて、
「上位人気が強いだけなのか」
それとも、
「レース全体として人気順に収まりやすいのか」
を分けられます。
オッズ差を見る方法はいくつかあります。
最も単純なのは引き算です。
1番人気2.0倍、2番人気6.0倍なら、
差は4.0
です。
ただし、私は比率も一緒に見たほうがいいと考えます。
先ほどの例なら、
6.0 ÷ 2.0 = 3.0
です。
2番人気は、1番人気の3倍の価格になっています。
一方、
1番人気4.0倍、2番人気6.0倍なら、
6.0 ÷ 4.0 = 1.5
です。
引き算ではどちらも差がありますが、相対評価はかなり違います。
実際に検証するなら、人気間倍率を使ってグループ分けする方法が考えられます。
例えば、
| 2番人気÷1番人気 | 仮の分類 |
|---|---|
| 1.00〜1.19 | かなり拮抗 |
| 1.20〜1.49 | やや拮抗 |
| 1.50〜1.99 | 評価差あり |
| 2.00以上 | 1頭抜け候補 |
ここで大事なのは、この境界に特別な意味があるわけではないということです。
最初の検証用に区切っただけです。
そのうえで各グループについて、
を比較します。
ここで一つ注意があります。
平均配当だけを見ると、分析を間違える可能性があります。
例えば9レースが低配当でも、1レースだけ極端な高配当が出れば、平均値は一気に上がります。
仮に配当が、
1,000円
1,200円
900円
1,300円
1,100円
1,000円
1,400円
1,200円
1,100円
50,000円
だったとします。
大半は1,000円前後ですが、最後の1件で平均値が大きく引き上げられます。
こういう場合は、
中央値
も確認したほうが実態を理解しやすい。
これは株式投資や統計分析でも同じです。
極端な外れ値に、全体像を引っ張られないことが重要です。
私なら、波乱度を一つの数字だけで決めません。
例えば、
最も分かりやすい指標です。
ただし、2着だっただけでも「敗北」なので、これだけでは配当の荒れ方は分かりません。
1〜3番人気だけで上位が決まったレースがどれくらいあるのか。
これは「市場の上位評価がどこまで正しかったか」を見る材料になります。
6番人気以下や二桁人気馬が、どれくらい馬券圏内に入ったか。
これを見ると、穴馬が絡む頻度を比較できます。
三連複や三連単などで、配当がどの範囲に多く分布しているか。
これも波乱度を考える材料になります。
ここは直感とズレやすいところです。
1番人気が抜けているレースだからといって、
2着以下まで堅いとは限りません。
例えば、1番人気だけ能力評価が抜けていて、2番人気以下が横並びなら、
1着は堅くても、2着・3着が荒れる
という構造も考えられます。
つまり、
単勝では堅いレースでも、三連系では荒れる。
ということがあり得ます。
これはかなり重要です。
馬券種が違えば、同じレースでもリスク構造が変わるからです。
NISAでオルカンやS&P500に投資する人が多い理由の一つは、複数の企業へ分散できるからです。
個別株1社だけに集中するのとは、値動きの性質が違います。
競馬も馬券種によって構造が変わります。
単勝は、1頭だけを当てればいい。
三連単は、3頭の着順すべてを当てる必要があります。
つまり、判断しなければならない対象が増えます。
1番人気が圧倒的でも、
2着・3着候補の評価が難しければ、三連単は簡単にはなりません。
「1番人気が堅い」と「レース全体が堅い」を混同しない。
ここが今回の重要なポイントです。
仮にオッズ差が大きいグループで、1番人気の勝率が高かったとします。
では、その1番人気を毎回買えばいいのでしょうか。
まだ分かりません。
投資判断なら、
まで見る必要があります。
勝率が高くても、オッズがそれ以上に低ければ利益は残りません。
逆に、多少勝率が低くても価格が十分なら、結果が違う可能性があります。
だからウマデシでは、
「当たる条件」を探すのではなく、「価格に対して期待値がある条件」を探す
という考え方を重視します。
仮に長期の回収率が良かったとしても、途中の連敗が大きすぎれば実運用は難しくなります。
これはFXでも株式投資でも同じです。
そこで見るのがドローダウンです。
例えば同じ最終収益でも、
では、実際に運用するときの心理的・資金的負担が違います。
競馬でも回収率だけを見るのではなく、
まで確認したほうがいいでしょう。
例えば20レースだけ調べて、
「人気間倍率2倍以上のレースは荒れなかった」
という結果が出ても、それだけでは弱いです。
偶然かもしれないからです。
100レース、500レース、1,000レースと増やしたときに傾向が残るか。
年度を変えても残るか。
競馬場を変えても残るか。
芝とダートでも同じなのか。
ここまで見る必要があります。
さらに注意したいのが、過剰最適化です。
例えば、
人気間倍率2.1〜2.3倍
東京芝1800m
良馬場
12〜14頭
3歳以上
のように条件をどんどん細かくしていけば、過去データ上だけ優秀な組み合わせは見つかりやすくなります。
しかし、その条件が未来でも続く保証はありません。
これはFXのバックテストでもよくある問題です。
過去チャートに完璧に合わせたルールほど、未来では崩れることがあります。
私は、
「この条件は回収率130%だった」
という数字だけを見るより、
別の期間でも同じ傾向が残ったのか
を重視したいと考えています。
例えば、
2018〜2020年
2021〜2023年
2024〜2026年
のように分けたとします。
どの期間でも似た傾向が残っているなら、仮説の信頼度は少し上がります。
逆に、特定の1年間だけ突出しているなら慎重になるべきです。
一番良かった条件より、崩れなかった条件。
これがウマデシで大切にしたい考え方です。
現時点では、オッズ差だけで馬券を買うべきではありません。
使うなら、
レースの市場構造を読むためのフィルター
として考えるのが自然です。
例えば、
という順番です。
「1頭抜けだから買う」ではありません。
「1頭抜けの市場構造では、過去に何が起きていたのか」
を見る。
ここに検証の意味があります。
NISAでも、オルカンでも、S&P500でも、FXでも、
一つの数字だけで投資判断をすることはありません。
競馬も同じです。
人気ではなく価格を見る。
価格だけでなく価格差を見る。
そして、その価格差が実際の結果にどう表れたかを検証する。
そこまでやって、初めて「市場の癖」が見えてきます。
今回の続きとして、次に調べたいのは、
「上位人気が拮抗しているレースほど、本当に荒れやすいのか?」
です。
1番人気2.5倍、2番人気2.7倍、3番人気3.2倍。
こうした「三つ巴」の市場と、
1番人気2.0倍、2番人気5.0倍、3番人気8.0倍。
という「1頭抜け」の市場では、
人気薄の出現率や配当分布に違いがあるのか。
次はここを数字で掘っていきます。